「相続」と「贈与」の違いとは?異なるポイントを分かりやすく解説
こんにちは。
江東区・相続申告コンシェルジュ
大倉公認会計士税理士事務所の大倉です。
財産を相続人に与える・引き継ぐ方法として、よく混同されるのが「相続」と「贈与」。
相続と贈与の違いは、同じ財産を与えることであっても方法や税率も全く異なります。
今回は、相続と贈与の違いについて分かりやすく解説していきます。
相続と贈与の違い
相続と贈与の大きな違いは「いつ」行うのかが重要なポイントです。
誰かが亡くなった後、亡くなられた方の財産がご遺族などに引き継がれるのが「相続」であり、生きているうちに財産を与えるのが「贈与」となります。
また、「税率」「基礎控除額」についてもそれぞれ異なります。
以下でそれぞれについて詳しく説明しましょう。
■相続とは
相続とは、誰かが亡くなったと同時に、財産や権利をご遺族の方(相続人)が引き継ぐことです。
もし、亡くなられた人が生前に遺言書を書かれていたのであれば、その内容に従いますが、遺言書が無い場合は、法律に従って相続を決めます。
基本的に相続はさまざまな財産や権利も引き継がれるため、相続の前には、相続財産の調査や相続人の調査を行ったのちに検討し、手続きを行う必要があります。
■贈与とは
贈与とは、生前のうちに相続人となる人などに財産を与えることです。
相続税対策として行われる「生前贈与」も該当します。
贈与は、無償で与える人の意思に対し、受け取る側の承諾によって成立します。
書面での契約を必ずしも必要とはせず、口約束だけであってもお互い合意の意思であれば、契約は成立しますが、トラブルを防ぐためにも「贈与契約書」を作成しておくのがいいでしょう。
相続と贈与にかかる「税金」
相続と贈与、それぞれ異なるものであっても、相続には相続税、贈与には贈与税が課税されます。
財産を与える手段である相続と贈与ですが、どれくらい課税されるのか見ていきましょう。
■相続税
相続の場合、以下のように法定相続分の取得金額に応じて、10%から55%まで8段階の税率となっています。
相続は亡くなった後に全ての財産を手放すため、額面から見る税率は贈与より多い印象を受けるでしょう。
法定相続額(取得金額) | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | ー |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円以上 | 55% | 7,200万円 |
■贈与税
贈与の場合、年間110万円以内であれば非課税枠として税金はかかりません。
しかし、もし年間で110万円以上の額を生前贈与のする場合は以下のとおり。
課税額(基礎控除後) | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | ー |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円以上 | 55% | 640万円 |
つまり、数年に分けて年間に110万円ずつ財産を引き継げば、贈与税がかかることはないため、相続対策として生前から贈与を行う人も増えています。
相続と贈与、どちらが良い?
相続と贈与、税金対策としてどちらの方が良いということはなく、ケースバイケースです。
ケースにもよりますが、相続の場合は相続人が複数人いたり、戸籍謄本等の収集や遺産分割協議書の作成などたくさんの書類が必要だったりと、なかなかスムーズに手続きを終わらせられないこともあります。
その点、贈与であれば譲る人と貰う人が合意するだけで、スムーズに手続きが終わります。
とはいえ、贈与はトラブルに発展する可能性も考慮し、贈与契約書を作成しておくのがいいでしょう。
相続と贈与の違いを知って正しく申告しよう
相続と贈与の違いは、財産を与える・引き継ぐ時期が大きく関係しています。
混同されがちですが、それぞれ名前が異なるように、手続きや課税の種類も異なります。
どちらがお得なのかはケースバイケースです。
相続は生前に贈与として対策しておくべきか、判断に迷う場合は、専門家に相談するのがいいでしょう。
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大倉公認会計士税理士事務所所長
大学卒業後8年9ヶ月にわたり銀行に勤務。大学院修了後、公認会計士の資格取得。
会計サービス等を提供するほか、元銀行員ならではの視点で相続税をサポート。
「お客様に寄り添う親身なサポート」をモットーとする。