相続税の分割払い「延納」と「物納」について解説!
相続税の支払いは、多くの人にとって大きな負担となる場合があります。特に、高額な財産を相続した場合、その支払いが一括で求められるため、現金の用意が難しいケースも少なくありません。
こうした状況においては、「延納」や「物納」という分割払いの制度を利用することができます。これらの制度を理解し、自分の状況に応じた適切な選択を行うことは、相続税の支払いを円滑に進めるために非常に重要です。
今回は、延納と物納の違いやそれぞれの手続き方法について詳しく解説しましょう。
相続税の支払い方法とは?
相続税の支払いには、基本的に3つの方法があります。
一つ目は、一括払いです。現金で相続税を全額支払う方法で、多くの場合、期限内に支払わないと延滞金が発生します。相続税は通常、一括払いが原則となります。
二つ目の支払い方法が「延納」です。これは、税金を数年間にわたって分割して支払う方法です。
三つ目が「物納」です。これは、現金での支払いが困難な場合、一定の条件下で不動産などの資産を用いて税金を納める方法です。
延納とは?
延納とは、相続税の支払いを最大20年にわたり分割して支払うことができる制度です。延納を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。
現金での一括払いが困難であること
相続税を現金で一度に支払うことが難しい場合にのみ、延納が許可されます。
相続税額が10万円以上であること
延納の適用は、相続税額が10万円以上の場合に限られます。
延納を希望する金額に応じた担保を提供できること
原則として、延納の際には担保の提供が必要です。ただし、延納税額が一定の金額を下回る場合には、担保が不要となることもあります。
延納の利点は、現金での支払いが困難な場合において、時間をかけて支払いを完了できる点にあります。また、納税者の財務負担が軽減され、急な資産売却を避けることができるため、相続人にとっては心理的な負担も減少します。
物納とは?
物納は、相続税を現金で支払うことが困難な場合に、不動産や有価証券などの相続財産を直接納税に充てる制度です。物納には、以下の条件が設けられています。
現金での一括払いが困難であり、かつ延納も不可能な場合
物納は、まず延納が難しい場合に選択される方法です。物納を希望する相続財産が、現金や預金では対応できない資産であることが必要です。
物納可能な資産の種類
物納に利用できる資産には、土地や建物、株式、有価証券などがあります。特に不動産は物納の主要な対象となりますが、価値が安定しているものであることが求められます。
物納の利点は、資産を現金化する手間やコストをかけずに、相続税を納めることができる点です。特に不動産のように現金化が難しい資産が多い相続では、この方法が有効です。ただし、物納には手続きが複雑であり、税務署の審査が必要となるため、必ずしもスムーズに認められるわけではありません。
延納と物納の違い
延納と物納は、どちらも相続税の分割払いを可能にする制度ですが、それぞれの条件や手続きには違いがあります。
手続きの違い
延納は、基本的に納税者の申請と担保の提供によって許可されます。
物納は、財産の種類や価値の審査が厳しく、税務署の承認が必要です。
適用される条件の違い
延納は主に、現金での支払いが難しい場合に利用されますが、物納はさらに一歩進んで、延納も難しい場合に適用されます。
メリットとデメリット
延納は、支払いを長期的に分割できるため、時間をかけて負担を減らせます。
一方で、物納は、現金化が難しい資産をそのまま税として納められる利点がありますが、手続きが複雑であり、必ずしも認められるとは限りません。
延納と物納の手続き方法
延納の手続きは、相続税の申告時に行います。延納を希望する場合は、相続税の申告書とともに「延納申請書」を提出し、担保を提供する必要があります。税務署の審査を経て、延納が認められた場合、指定された期限内に分割払いが可能となります。
物納の手続きは、相続税の申告と同時に「物納申請書」を提出し、物納に充てる資産についての詳細な書類を添付します。物納は、税務署による審査が厳しいため、事前に財産の評価や物納が適用されるかどうかを確認する必要があります。また、物納が認められた場合でも、提出された資産の価値が相続税額を超える場合は、その差額が現金での支払いを求められることもあります。
延納と物納を利用する際の注意点
延納や物納を利用する際には、いくつかの注意点があります。まず、申請が却下される場合があることです。特に物納は、財産の価値が税務署の基準を満たさない場合や、不動産に対する権利が複雑である場合、認められないことがあります。
また、延納の場合でも、支払い期限に遅れると延滞金が発生し、延納の期間中も利子が発生することがあります。そのため、事前に納税計画をしっかりと立てておくことが重要です。
相続税の分割払いも専門家に相談しよう
相続税の支払いは、多くの人にとって大きな経済的負担となることが少なくありません。しかし、延納や物納といった分割払いの制度を利用することで、現金での一括払いが困難な場合でも、柔軟に対応することが可能です。
それぞれの制度には手続きや条件が異なるため、自分の状況に合った方法を選択することが重要です。
相続税の支払いについて迷った際には、専門家のアドバイスを受けながら最適な方法を見つけることをおすすめします。
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