農地の評価方法は複雑!遺産分割する際の注意点
こんにちは。
江東区・相続申告コンシェルジュ
大倉公認会計士税理士事務所の大倉です。
農地の評価額は複雑であるため、遺産分割が難しいと言われています。
今回は、農地を相続する際の評価方法や、遺産分割する際の注意点について解説しましょう。
農地の相続・遺産分割は難しい
農地の相続をする際には農地法による制約があります。
この農地法によって農地を相続することは難しく、遺産分割がスムーズにいかない場合もあります。
また、農地を相続する場合には、法務局への相続登記の他に農業委員会へ届出をしなければなりません。
農地の相続が難しいのには、主に以下2つの理由があります。
- 大前提として農地は分割しにくい
- 農業を営んでいると農地は分割しにくくなる
まず、大前提として農地は分割しにくいことが挙げられます。
一般的な土地であれば、建物を建てることや駐車場にして貸すなどができますし、利用する際の汎用性が高い場合が多いです。
しかし、農地の場合は農業経営者以外は利用するのが難しいという点があります。
そして、農業を営んでいると農地はさらに分割しにくくなります。
というのは、相続人の人数に応じて土地を分割することになりますが、農地は分割をしてしまうと農業自体が成立しにくくなるということからシンプルに農地は分けにくい問題があります。
昔の日本であれば長男が農業を継ぐという流れがありましたが、今ではやや前時代的で主流ではありません。
農地の評価方法
相続税における農地の評価方法ですが、農地の分類によって評価方法は異なります。
区分 | 評価方法 |
純農地 | 固定資産税評価額×倍率 |
中間農地 | 固定資産税評価額×倍率 |
市街地周辺農地 | 市街地農地であるとした場合の価額×80% |
市街地農地 | (宅地であるとした場合の1㎡あたりの価額-1㎡あたりの宅地造成費)×地籍 |
農地は基本的に上記4種類に分類されます。
それぞれで評価方法が異なり、またそれぞれ複雑なため専門家に依頼して評価額を出してもらうのが確実でしょう。
農地の遺産分割について
農地の遺産分割方法ですが、農業を営んでいる農地の場合と、農業を営んでいない農地の場合によって異なります。
それぞれについて解説しましょう。
・農業を営んでいる農地の場合
基本的には遺産分割は相続人全員に権利があります。
よって、相続人が複数人いて不動産の相続を希望する場合には、その不動産を共有したり、土地の分筆をするなどして対応することになります。
しかし、例外のパターンとして農業を営んでいる農地の場合は、「食料・農業・農村法23条」により、裁判になったとしても田畑の分割は推奨されない傾向にあります。
そのため、農業を継ぐ相続人が相続面では有利な状況になる傾向ですが、さまざまな方法により争い無く公平な相続になるように工夫が必要です。
・農業を営んでいない農地の場合
農業を営むことなく放置されている農地に関してはさまざまなデメリットが生じます。
この場合は「耕作放棄地」となり、雑草や害虫が発生して土壌が荒れて農地として再利用することが難しくなります。
その結果、廃棄物を不法投棄されるなどの問題が生じることもあるのです。
このようなトラブルが多い農地は有用性が失われ、売却や寄付などによる処分が難しくなります。
農地を単独で相続する3つの方法
農業後継者が農地を単独で相続する場合には、相続人同士で争いを避けるためにも以下の3つの方法を検討するとよいでしょう。
1.寄与分を主張する
遺産分割をする際には、「寄与分」という制度があります。
寄与分とは、亡くなった被相続人の財産の維持・増加に特別な貢献をした相続人がいる場合には、その相続人には貢献に応じて他の相続人よりも多くの遺産を取得することができるという制度です。
たとえば、亡くなった人の在宅介護をして最期まで面倒をみていたなど、そのようなケースではこの寄与分を主張することができるでしょう。
2.代償分割の交渉をする
遺産分割には代償分割という方法があります。
代償分割は、特定の相続人が遺産を相続する代わりに、他の相続人に対して自己の資産から代償金を支払うという分割方法です。
よって、今回のケースでは農業を継承する人から法定相続分に相当する代償金の支払いを受けるということになります。
代償分割は、相続人に財力がある場合にはスムーズにいきますが、財力が無い場合にはこの手段をとることができないのが難点です。
3.相続分の放棄や譲渡を交渉する
農業を継承する人が全ての農地を取得することになっても、一般的な相続と比べると、周囲からの反対が出ることは少ないといえます。
生前の被相続人の意向などを踏まえ、他の相続人を説得することにより農業後継者がすべての農地を取得することが可能になったケースもあります。
このように相続分の放棄や相続分の譲渡を他の相続人に交渉をすることもあるかもしれません。
自分たちの農業が継続できるように共通の認識を家族間で持つことが重要です。
農家の相続問題は難しいので日常的に話し合いを!
農家の慣習は一般的な家庭とは異なることもあり、不動産の相続の際にはトラブルになることもあります。
相続により争う事態を避けるためにも、日頃から相続になった際に、どのようにするか親族間で話し合うことが大切です。
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大倉公認会計士税理士事務所所長
大学卒業後8年9ヶ月にわたり銀行に勤務。大学院修了後、公認会計士の資格取得。
会計サービス等を提供するほか、元銀行員ならではの視点で相続税をサポート。
「お客様に寄り添う親身なサポート」をモットーとする。