相続手続きしなかった場合はどうなる?罰則はある?【専門家解説】
こんにちは。
江東区・相続申告コンシェルジュ
大倉公認会計士税理士事務所の大倉です。
相続手続きは、仕事や家事の合間を縫って行うこととなり、また膨大な書類を提出しなければならないケースもあるため、先送りにしてしまう人も多いでしょう。
では、相続手続きをしなかった場合どうなるのでしょうか。
今回は、相続手続きをしなかった場合について解説していきます。
相続手続きをしなかった場合どうなる?罰則はある?
相続手続きをしなかった場合、現時点では法律上の罰則規定はありません。
そのため、相続手続きをしなくても、財産を自由に使えないだけで、今は困ってないから大丈夫だと考える方もいるようです。
しかし、相続手続きをしていないため、古い登記が何年も放置され、遺族が困るというケースが多くあります。
また、罰則はないものの、相続手続きをしなかった場合にはリスクが生じます。
相続手続きには期限も設けられているため、できるだけ早めに行うのがおすすめです。
相続手続きをしなかった場合のリスク
相続手続きをしなかった場合のリスクは、主に以下の通り。
- 高額な借金の返済義務を負う可能性
- 延滞税などが加算される可能性
- 預貯金の権利が消滅
遺族が遺してくれた財産を失う可能性もあるので、十分に注意が必要です。
相続手続きをしなかった場合のリスクについて解説しましょう。
高額な借金の返済義務を負う可能性
被相続人の借金は「マイナスの相続財産」になります。
プラスとなる相続財産で返済できない可能性もあり、そうなった場合に借金の返済義務を負ってしまいます。
この場合、マイナスの財産(借金)が高額なのであれば、家庭裁判所へ申述し、早めに相続放棄や限定承認を選択するようにしましょう。
相続放棄をすれば、はじめから相続人ではなかったことになります。
限定承認をすれば、プラスの財産の範囲内で借金を返済することができます。
上記の選択は、相続開始を知った日から3カ月以内が期限となっており、期限を過ぎるとどちらも認められなくなるため、注意が必要です。
延滞税などが加算される可能性
相続税が発生する相続手続きは、相続開始を知った日の翌日から10カ月以内に申告と納税をしなければなりません。
申告期限までに手続きを行わなければ、相続税の本税に延滞税や無申告加算税が加算されてしまいます。
また、相続手続きで財産評価を間違えると、過少申告加算税が加算される可能性もあります。
相続によって必要となる納税を先延ばしにすると、財産を差し押さえられるリスクもあるのです。
預貯金・株式の権利が消滅
被相続人から預貯金を引き継ぐ場合は、名義変更などの手続きが必要です。
預貯金の口座などは被相続人が亡くなってから凍結されてしまい、5年以上入出金などの取り引きがなかった場合は、払い戻し請求権が消滅します。
払い戻し請求権が消滅すると、預貯金の引き出しや解約はできなくなるので注意してください。
また、相続財産に上場株式がある場合は、相続手続きをしないまま長期間放置すると、株式の権利が消滅する可能性があります。
本来、相続財産に上場株式があるときは、相続人名義の証券口座へ移し、そのまま保有するか売却するかを選択する必要が出てきます。
相続手続きをしなかった場合、株主所在不明と判断した発行会社が買い取る、または売却される可能性があるのです。
そうなっても売却代金は受け取ることができず、時効が成立すると売却代金を受け取る権利もなくなってしまいます。
相続手続きは期限内にするのがベスト
相続手続きは、日常生活の合間を縫って行う必要があり、なかなか着手できていない方も少なくないはず。
しかし、相続手続きを行わなければ、罰則はないもののリスクが生じることだけは知っておきましょう。リスクを避けるためにも、相続手続きは期限内に行うのがベストです。
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大倉公認会計士税理士事務所所長
大学卒業後8年9ヶ月にわたり銀行に勤務。大学院修了後、公認会計士の資格取得。
会計サービス等を提供するほか、元銀行員ならではの視点で相続税をサポート。
「お客様に寄り添う親身なサポート」をモットーとする。